夏の本② 夏の滴
『 夏の滴』桐生祐狩 角川ホラー文庫
美しいタイトル。この『 夏の滴』という3文字だけで青春の瑞々しさが頭の中に浮かんでくる。
↑私が書いた美しい表紙イラストです。
だが違う。この作品は第八回日本ホラー小説大賞長編賞を受賞している。
この作品は小学四年生の主人公と彼の友達を中心に描かれる一夏の物語である。作品の舞台は田んぼがら多くある、N県の県庁所在地が近い町。主人公らは、転校してしまった友達に会いに小学生だけで東京に行ったり、クラスでは植物占いが流行ったり、夏休みの親子キャンプに行ったり小学生らしいイベントをたくさんしている。
このような楽しいイベントの中で見えてくるのは小学生と大人達のドロドロとした醜い本性。
親子愛、友情。美しく見えるそれらは実際に美しいのかと考えさせられた。
私はホラー小説というのはグロにばかり頼って描かれるものだと思っていたが違う。人間関係ほど恐ろしいものはないのではとこの本を読んで考えさせられた。もちろんこの本にもグロ描写はあるが。
青春物語の中の青春と自分の青春を比較して、鬱になった人にオススメです。
夏ポイント☆☆☆☆☆
田舎ポイント☆☆
青春ポイント ☆